和解する脳

 

和解する脳

和解する脳

 

 

■二重性

■■遺伝子と脳

遺伝子=OS

脳=アプリケーション

遺伝子から脳ができるが、人において、遺伝子の数は2万台、神経細胞は推定100億であり、神経細胞の方が圧倒的多数となったため、両者対立関係にあると考えられる。遺伝子はゆっくり変化、脳は即時的。

■■脳幹と大脳皮質

脳において、生命本体である脳幹(情)とその下位組織である大脳皮質(理)も、大脳皮質の肥大化により、同様の関係であると考えられる。

 

再帰

文章の入れ子構造=再帰。他者の視点。数字の連続性、有限無限。これらを理解できることが、人間の特殊性。

有限を理解=パイの奪い合い、争いごとの元。

 

■不安から怒り

扁桃体(大脳辺縁系)=不安

不安を超えると、

PAG(原始的)=一過性の怒り・攻撃性

が活動する。

 

■霊長類が意思決定する重要な場所=OFC(眼窩前頭皮質)

扁桃体から強い神経投射。

自分の置かれた状況等を判断、相対的に何がいいか決める。状況に応じて快不快の基準が変わり、結果意思決定も変化する。

絶対的価値をコードするニューロンがあり、そこから相対性が生まれ、下した判断に自分が納得したかがはじめて理解できる。

予測性。いつか快になる場合、今の不快も我慢できる。相当高度で、人間はとくにここが発達している。経験により、予測範囲に幅。若いほどスパンが短い。先を予測できるほど、我慢でき、待てるように。

 

■「意図よりも行動が後」

脳の意図(前頭葉の起動)と、それが意識に上り実際の行動に移るまで、その時間帯に、行動をしなくてもいいという権利がある=自由否定(フリー・ウォント)

自由否定は、「dFMC」前頭葉中央内側の背側前頭内側皮質の活動による。

自由否定にも相対的な快・不快の判断。

天秤の役割であるOFCに、快の情報を脳幹上部のVTA(腹側被害蓋野)が、不快の情報は扁桃体がもたらす。

 

■動作と直感

ストリアツム(線条体):大脳皮質と視床、脳幹を結びつける大脳基底核に位置。

ひらめき(理由明確/大脳皮質)「理」

直感(理由不明/ストリアツム)無意識で正確な「手続き記憶」。計算結果のみ意識に上がるため、計算過程は分からない。訓練により、回路形成可能。

 

■マネー欲

マネーには色々な「快」と交換できる可能性=無限の欲望

満たされれば収まって、限度を超えると嫌悪が訪れるっていう、個々の欲求の抑止システムが、マネーに関しては働かない。

 

ニューロン

抑制性=GABA

興奮性=グルタミン酸

 

■神

脳には、刺激すると神が見える領域があるんです。脳の左側の側頭葉の上部なんですが、自分の身をすべて託してもいいというくらい尊敬できる何かが見えるらしいですよ。偶像崇拝を生み出すのは大脳皮質なんですね。大脳皮質の肥大化というヒトの特徴は本当に無視できないなと思います。

 

■「コオプト(転用)」

進化の目的と違う方向にものが使われること。

本来暖まるための羽毛➡空を飛ぶ

OFC(意思決定)➡値段で快不快を判断

制御系が追いつかず、人間はお金に溺れる。

 

■われわれには、

自動的に何かしよう➡「やっぱやめた」(自由否定)

と思うことしかできない。その指令を発する前頭葉背側前頭内側皮質が最高レベルの司令塔。ここがうまく働かない子どもは、思ったことをそのまま言ったりやったりする。そこにモラルが入り、心に抑止が生じる。この抑止を司る能力は、マネーに関してはまだ弱い。比較的最近出てきた金銭に対する欲求は、まだ抑止のシステムが生まれていない。

 

■多様に見える脳機能もつきつめると「予測」。科学は脳の予測性を補完する形で、人間が人類のために編み出した。

現代は「理」の肥大化が顕著。人間の特性(互恵的利他行動/助け合い・恩返し)に合った「理」を再構築していくことが必要。