ゆらぎ

 

■科学の限界

実験化学が証明できること=「相関関係」

因果関係は証明不可。解熱剤を飲んで熱が下がったようにみえても、飲まなくても下がったかもしれない。

「因果関係」=「私たちの心の中」=脳の解釈・錯覚

 

■脳の解釈

脳は、世界をただ写しとってみるのではなく、思い込みで解釈する。脳の解釈からは逃れられない。

ピンク色を感知するニューロンが活動しているときにしか、ピンク色はみえない。

 

■脳の機能

左脳=「言語野」ウェルニッケ野・ブローカ野

右脳=「イメージ」「映像」

 

■錯誤帰属・・・自分の行動の「意味」や「目的」を、早とちりして勘違いな理由づけをしてしまう、脳の間違った解釈。(例:吊り橋効果/ロミジュリ効果)自ら視線を動かし相手を見ると、脳は、能動的に見たということは私は相手に行為を持っている、と間違った解釈をする。

 

■ひらめきと直感

ひらめき=大脳皮質/理由がわかる

直感=大脳基底核/理由不明で結構正しい

睡眠は休息ではなく、積極的に情報の整理や保管を行うための活動的な「行為」である。「ひらめきは寝て待て」。

基底核は手続き記憶の座。これまでの学習・訓練から正確な答えのみ導き出す。人生経験は直感・センスを育む。

 

■パターン・コンプリーション

一部の情報から全体を類推し補完する思考過程。

 

■過去の記憶が正しさを決める。「どれだけそれに慣れているか」。「正」「誤」=相対的。

 

■好み

反復提示により「好みが操作されうる」

人の好みは、意識にはっきりとのぼる理由がないままに、周りの状況を引き込みつつ、好きになったり嫌いになったりする。

 

■記憶は積極的に再構築される

 

■角回(頭頂葉後頭葉の境界)

刺激されるとゾワゾワ。

右を刺激すると「優待離脱体験」=俯瞰的視点、自分を外側/他者の視点で眺める

 

■「自分の身体の表現を通じて自分の内面を理解する」

 

■ヒトの意識は「解釈」を主体とした認知マシーン

 

■感覚器は、現実世界の圧倒的に多様な情報量を、かなり少ない要素にまで一気に落とし込んで感受している、洗練されたシステム。

視覚:3色(赤緑青)/味覚:5種類(塩酸甘苦うまみ)/触覚:数個(温冷圧痛など)

嗅覚のみ例外で、受容体は400種近くあり、視床を経由せず、そのまま大脳皮質に届くため、寝ている間も働く。

 

■昆虫・鳥など:4原色(赤緑青紫外線)/人:3(赤緑青)/哺乳類:2(青橙)

 

■「自由は、行動よりも前に存在するのではなく、行動の結果もたらされるもの」

自由意志は、存在有無ではなく、知覚されるものではないか。

■準備(運動準備野)-動かそう(認知)-動いた(認知)-指令(運動野)

運動準備野(運動前野+補足運動野)=身体の動きの計画を立てる

運動野=身体に指令を出す

運動準備野を刺激すると、「動かしたく」なる。

 

■ゆらぎ

全く同じ条件下でも、結果が成功失敗に分かれるのは、脳にゆらぎがあるから。ここを測定していると、成功失敗が予測できる。

「入力+ゆらぎ=出力」

脳回路の計算はタイミングの問題。

運動・知覚・記憶・注意力=ゆらぎ

 

■自由否定

イデアそのものは脳のゆらぎから自動的に生まれ、できることは自由否定するかどうか。

前頭葉の一番前と側頭葉の一番端が、自由な心が宿る場所。

 

■ゆらぎのパターンは、環境・学習・記憶により、変わりうる。

 

■可塑性

「遺伝子で決定されたデフォルト状態からどれほど乖離できるか」という自由度

 

■構造・機能の両方向性の作用があって、はじめて生命はしなやかさを獲得する。生命は自身を書き換える。

「自己書き換え」の能力=可塑性の基盤

 

■ゆらぎのコントロール

前頭葉のアルファ波=多い(悪い状態)/少ない(良い状態)

脳波計で自分のアルファ波を測定して訓練すると、量をコントロール可能になる。

フィードバックにより、自己制御可能となる。ニューロンの回路もフィードバックになっている。そこから発火活動の「創発」が生じる。人自体も、身体・環境・幽体離脱を介して、フィードバック回路となっている。

 

■自分の心を自分で考えるリカージョン(入れ子構造)は、原理的には無限だが、それを行う場であるワーキングメモリは有限であるため、すぐに飽和し、理解不能の不安状態に陥る。そのため、「心=不思議」となるが、本質はリカージョンの単純な繰り返しにすぎない。