脳はみんな病んでいる

脳はみんな病んでいる

脳はみんな病んでいる

・高齢者はけっこうな割合で幻覚を見ている(病気でなくても)。高齢になるにしたがって脳内部の活動レベルは高まる。加齢に伴って抑制のタガが外れることで、脳回路の興奮性は高まり、そのことが幻覚をトリガーしている可能性。
・他者との「情報共有性」の有無が、夢と現実を区別できる一つの根拠。
・視覚野の97%以上は、目で見るものと関係ない、脳の内部で勝手に生み出された情報を処理している。「見え」のうち、網膜情報に準拠したものか、脳の思い込みにより構築された虚構か、区別不能
・「これはフォーク」と反応する神経細胞は、フォークを見たときだけでなく、普段から忙しく活動。目から「フォーク」の網膜情報が入ると、神経細胞が「フォーク」という活動に固定される=「見える」。
フォークがないところで、「フォーク」担当の神経細胞の自発活動がうっかり意識に上がる=「幻視」。目の前にないフォークが見えてしまう。
・脳言語。脳の使い方には個人癖がある。脳紋。それで個人を当てられる。脳には取扱説明書はなく、皆見よう見まねの自己流で使っている。
経験を皆で共有し、各々自分の脳内デジタル信号を辻褄が合うように解釈し、表現を通じて「共通」という折り合いがつく=「社会的合意」「相互理解」
・直感力は大脳基底核(過去の体験や統計を集めて未来予測する部位)が司る。
カップを持つなどの動作の際、意識しなくとも、何十という筋肉がほぼ完璧に動く。こういう複雑な運動計算をしているのが大脳基底核。それまでに積み重ねた「カップを持つ」といった統計情報を集大成して安定的に計画実行する=「未来予測」。
この非言語的な神経プロセスが、身体を伴わない抽象的な思考に転用されたものが、著者の言うところの「直感」。無意識な並列高速計算処理。世間で第六感と呼ばれるものに近い能力。
勘の鋭い人=体験則から予測を導き出す能力が優れている。データ集積が上手。
・IQが高い人に不安症や気分障害等多いのは確かだが、実はアレルギーや自己免疫疾患も多い。「心身過剰興奮説」。脳の活動レベルだけでなく、免疫力も高いから、花粉症等のアレルギーが生じやすいという推察。
脳も身体の一部。脳だけでなく体全体の過剰興奮と考えれば合点がいく。
・α波は脳の神経細胞が発する微量の電気信号のパターン。目を瞑り視覚を遮断するだけで簡単に出すことができる。脳がα波で満たされる=幸せではない。
・進化は「すでにある機能を別の目的に転用することで、あらたな形質を獲得する」というコオプト(co-opt=転用)が王道。となれば恋愛の原形は「わが子を自分の命に替えてでも守り通したい」という衝動が、脳のバグによって、他者に転用されたものと考えるほかない。恋愛結婚は「私にはこの人しかいない」という壮大なる勘違いが原動力。
・感覚過敏こそが自閉スペクトラム症の中心となるべき主症状であって、空気が読めないことや、不適切な行動などの社会性の欠如は、脳内から見れば、むしろ周辺症状である可能性。ADHD症状を併せ持つ傾向も。