日本人だけが知らない戦争論

戊辰戦争が決着すると、日本は明治維新を迎え、その13年後の1882年に日本銀行が設立されています。その日本銀行は半官半民の出資で設立され、当然民間部分はその設立当初から国際金融資本の影響下にあったと考えられます。ヨーロッパの銀行家は、戊辰戦争を導くことによって、日本の通貨発行権をきれいに手に入れているのです。
中央銀行制度は、国民をさく取するための壮大な装置。
◾かりに日本銀行券が政府発行の政府紙幣であったなら、それは借金ではありませんから、日本人が金利を支払う必要はありません。ところが、政府が通貨発行権を持つべきだという議論は、どういうわけか一度も起こりません。
◾歴史をこのように俯瞰してみると、かつて王家対王家の領土争いだった戦争が、いつの間にか同じ戦争のつづきに見せかけた王家対ヨーロッパの大銀行家の戦争に変質していたことがわかります。
◾そして、通貨発行権をめぐる国家対ヨーロッパの大銀行家の戦争は1913年、アメリカのFRB(連邦準備銀行)の設立によって、一応の終息を迎えます。
なぜ私が、それをもって終息というのか。
理由は、簡単です。
それまでは、「通貨発行権の獲得」のために戦争が行われました。しかし、FRBの設立以降は、「通貨発行権の行使」のために戦争が行われるようになりました。
21世紀の現在においても、その戦争目的は変わりません。
◾とはいえ、アメリカはヨーロッパのような封建制度の歴史はなく、建国当初から、議会制民主主義によって運営される国家でした。そのため、名誉革命フランス革命で使ったシナリオを当てはめようとしてもうまくいきません。
そこで彼らは、アメリカを分断し、互いに戦争させる道を選びました。
つまり、南北戦争です。
◾不況と戦争はセット。
◾ところが、フリードマンは、需要と供給ではなく貨幣の量が経済を規定していると考えました。このため、彼は貨幣の供給量を決定する中央銀行の役割の重要性を説くことになります。
◾彼は、大不況や恐慌が起こるよりも以前にマネーサプライの減少が始まり、その末に恐慌や大不況が起こっているという事実を突き止めたのです。「大恐慌は、市場の失敗が原因ではなく、FRBが不必要な金融引き締めを行ったことが原因である」。
◾経済的自由主義=経済活動における意志決定はその最大限を個人に委ねるべきだ、とする思想。
◾それ以来、近代的な徴税制度が整備されていくわけですが、イギリスがイングランド銀行国債を引き受けさせ、国民がその金利を支払って負担する(所得税)不可思議な制度が定着していきます。
◾「富国」とは、国民から思いっきり収奪することによって国家を富ませる政策でした。いったい国家とは、誰のことなのか。通貨発行権を握る中央銀行制度が、その仕組みを支える要になっていました。
◾ヨーロッパの大銀行家が何を考え、何を目指してきたかという視点を獲得しなければ、世界で起きていることは何ひとつ理解できないのです。
◾イエスはおそらく、このことに激しく怒ったのでしょう。
なぜなら、神官が恣意的に生贄の価値を決めるとすれば、神官は神よりも上位の存在になります。神を利用して、自分たちの懐を肥やしているからです。
中央銀行制度によって金の一極集中を目論むヨーロッパの大銀行家にとって、これらの旧帝国の存在は、邪魔でしかたがなかったに違いありません。
◾帝国が崩壊すれば、あとは民主主義の必要性を説き、政府から独立した中央銀行制度をつくるだけで、その国を簡単に支配することができます。彼らは中央銀行の株主として、金利をとり、不況を起こし、いくらでも富を収奪することができるわけです。
◾戦争のシナリオが迎える結末は、つねに金融権力の純化、巨大化を実現しています。
◾私は、クロムウェルイングランド内戦、フランス革命アメリ南北戦争、そして日本の明治維新が共通の方法論で貫かれていることをすでに指摘しましたが、世界大戦においてもそれを認めることができるわけです。
◾ワールドニューオーダー、世界をひとつの政府によって統合し、経済をひとつの中央銀行によって運営する。つまりは、世界統一です。
◾面白いことに、BRICS開銀設立の動きが顕在化したちょうどそのタイミングで、ウクライナの政変が起こりました。
◾これをソ連崩壊後のヨーロッパの枠組みに対するロシアの挑戦と見る向きもありますが、むしろロシアを挑発している本尊はアメリカです。ウクライナで起こった政変も、アメリカとEUの念入りな下準備によって起こされました。プーチン大統領は、そのことを百も承知ですから、これが戦争の火種にならないはずはありません。
◾ただ、どんなに侃々諤々の議論が巻き起ころうとも、戦争は人々の目にそれと映ることなく5次元の戦争空間で進行していきます。おそらく私たちは、ある日、目の前に破局的な事態が突如現れたときに、戦争の存在を知ることになるのかもしれません。
国連憲章の敵国上条項によって、日本には戦争を起こす権利がないと決められているからです。この敵国条項の削除が行われていないため、日本は国連加盟国193カ国の中で唯一戦争を起こす権利がない特殊な国になっているのです。