戦後洗脳史

◾さて、これでわかるように、GHQが残していったものは日本国憲法だけではない。現在の警察と検察の対立の構造、改憲派護憲派という対立の枠組みなど意図していないものまで温存されている。
GHQ「皇室そのものが三井、三菱、住友などの旧財閥および東京電力と利益共同体であったことを示唆している」(東日本大震災以後、なぜ東電を潰すことができなかったのか、その理由の一端と、日本社会の根本的な構造が、これによって透けて見えてくる)
◾自らの儲けと、敵国への戦争協力を天秤にかければ、儲けを捨てるのが一般的な考え方だ。
しかし、銀行家はそうは考えない、ということを私たちはよくキモに銘じておかねばならない。これは世界の仕組みを理解する上での基本となる。
銀行家は敵国への協力と利潤を秤にかけると、利潤を取るのである。いや、どんな場合でも、儲けだけにしか興味がないのである。
最優先する事項は利潤の追求。これがBISのモットーであった。
◾つまり、王権の一部を銀行家に譲り渡してしまったことが、近代システムの歪みとなって、戦争や大恐慌といった事件を引き起こしているのである。
GHQ占領政策の目的「日本を軍事的にも経済的にも無力化」。
これをドレーパーは「安定した日本を太平洋地域の経済に組み入れ、親米的で、有事の際には準備の整った信頼できる同盟国」をつくるというものに変えたのだ(=日本を反共の砦とする)。
これは現在の日本の姿といっても過言ではなく、対米従属日本はまさにこの時、始まったのである。
◾ドレーパーらがなぜ対日投資は高収益が期待できると、踏んでいたのか?それは日本の安価で優秀な労働力を使えるからだ。現在の中国がそうであるように、奴隷のようにこき使える人間がいるからこそ、投資の旨みが出てくるのである。
◾そう。通産省はドッジによってつくられたもので、その目的は“日本人が骨身を惜しまず働き、国内で耐乏生活し、輸出を高い水準で維持するよう日本政府にわからせる”ためのものであったのだ。
日本がなぜ、対米従属から逃れることができないのか。
それは、この占領期につくられた、省庁や制度がいま現在でも厳然と残っているからだ。
GHQのリベラル派が目指していた日本の未来像「日本国民の生活を半永久的に戦前のアジア諸国以上の生活水準に上げないようにすること」。要は、日本は貧しいままでいろ、というのが、GHQのリベラル派が推し進めていた民主化路線の真実だった。
だから、占領期にGHQのリベラル派が勝っていれば、日本は対米従属にはならず、民主化も進んだと思った人もいるかもしれないが、ことはそんな単純なものではない。高度経済成長もせず、敗戦直後のままの生活を余儀なくされる可能性だって十分にあったことを忘れてはいけないのである。
◾「GHQによる財閥解体はなかった」
「しかし、ウォール街による財閥解体はあった」
このウォール街財閥解体によって、戦後の日本はアメリカに強固に従属する運命となってしまったのである。
◾国際金融家たちが必要としていたのは財閥の生産力と経営者だけであった。わかりやすく言えば、工場と番頭さんたちだけいればよく、当主はいなくなってくれたほうがむしろ好都合であったのだ。
ウォール街財閥解体の実態は資本家の追放であり、追放されてできた穴には自分たちが入るのがその目的。それによって財閥企業全体のコントロールを目指したものであったのだ。
これがリーダーシップが不在になることの結果。どれほど会社の規模が大きくなっても、誰かの下請けにしかなりえない。日本をアジアの工場としたい、アメリカとすれば、この状態を長くとどめておくことが自国の利益につながるのである。
◾日本の高度成長を陰で支えてきたのは、軍需産業であったのだ。アメリカは日本をただの工場にしたかったわけではない。軍需工場としたかったのである。
◾日本の経済復興はアメリカの戦争のおかげであったのだ。
日本の奇跡のような経済成長もアメリカの対日戦略の一つであり、想定内の結果だったのである。
◾ただし、講和条約はその前文で国連憲章を遵守すべきと書いてあり、大前提として国連憲章ありきの構造となっている。そして、国連憲章には、有名な敵国条項があり、日本の自衛権はここで大きく制限をかけられている。
つまり、サンフランシスコ講和条約はこれだけではなんの意味もない条約であり、日本の独立についてなに一つ具体的に書かれていないのも当然だったのだ。
私がサンフランシスコ講和条約には中身がないというのはこういう理由があるからだ。
◾テレビはもともとアメリカ文化を日本国民に刷り込むためのものであったが、反共思想を強固なものにするための目的も隠されていた。
ウォー·ギルト·インフォメーション·プログラムほど、わかりやすくやっているわけではないが、アンチコミュニズム·プログラムは日本のメディアの根っこの部分に深く突き刺さっている。日本人の多くが必要以上にロシアを恐れたり、嫌うのはこのプログラムがいまだに効いている証拠だろう。
となれば、日本の真の国益を考える時、ロシアに対するイメージをいま一度考え直すことが重要であることも見えてくる。
◾つまり、戦争の準備を始めていると近隣諸国が“判断した”だけで“日本とドイツには攻撃していい”と国連は認めているということである。