経済大国なのになぜ貧しいのか?

◾経済洗脳。お金を稼がなければならない、お金さえあればいいという私たちの日常的な思考は、すべて資本主義という宗教の教え。
とはいえ、資本主義の中で生きている以上「お金なんかいらない」では通らない。なぜ、資本主義の教えから脱洗脳する必要があるかといえば、「カネがすべて」という教えに染まってしまった人は、いくら儲けることができたとしても、必ずカネに裏切られるからです。それは、「喉から手が出るほどカネが欲しい」と思っている人が、一番簡単に詐欺に騙されるのと同じことです。
◾経済学において「投資家」を経済の一大主体として認めざるをえなくなった。経済を動かす主体➡️企業(生産)、家計(消費·貯蓄)、政府。ところが、この21世紀に、それらよりも巨大な「投資家」の存在無視することができなくなった。企業や家計が好調でも、投資家が投資を引き上げた瞬間に金融危機(リーマン·ショック)が起こるため。
◾世界経済が投資家心理で動くのであれば、逆に私たちの心理をコントロールして、経済を動かそうとする勢力がいて不思議はありません。
リビアは、世界で唯一の国家所有の中央銀行を持ち、アメリカのドル支配に頑なに抵抗した国。原油の金決済をも、主張していました。共通通貨を作ることによりアフリカ共同体を創設する計画も進めていた。
すると、なぜかフェイスブックを媒介にして民主化運動が起こり、NATOリビア空爆を行い、カダフィーは殺されてしまった。結果は、アメリカがイラクに信仰し、フセインをやっつけたときと同じ。
◾ほんの1年前まで中国脅威論が燃え盛っていたASEAN諸国は、その助けを求めた相手のアメリカ·ウォールストリートが、実は陰で牙をむいていることに気づき始めた。世界同時不況の中でブロック経済化が進みつつあるが、ブロック経済がけっして相互扶助の精神に立たない新殖民地主義であることがはっきりしてきたから。だから彼らは、TPP参加にまるで興味を示そうとしない。
◾世界のパワーゲームは新たな段階へ。ツイッターフェイスブックのつぶやきひとつで、1国の政権が吹き飛ぶ時代。現代の戦略兵器は、もはや核ではなく、ネット上のつぶやきや書き込み。
◾戦争の狙いはつねに経済的収奪。命じているのは、世界有数の投資家。アメリカやヨーロッパ列強の首脳は、その意を体現しているにすぎない。彼らが企図する洗脳から逃れるためには、「あらゆることを疑え」しかないが、さしあたって一番重要なのは、私たちにまとわりついている経済学のウソから脱却すること。なぜなら、そのウソに惑わされるものがイの一番に収奪され、経済的敗者に追いやられていくため。それは同時に、私たちが経済戦争を生き抜き、真の経済的豊かさを引き寄せるための方法論にもつながっていくでしょう。
ゲーデルの不完全税定理とハイゼンベルグ不確定性原理=完全情報はない。にもかかわらず、経済学はいまだに完全情報が存在し、すべての人々が経済合理性に従って行動するという前提で組み立てた理論を一歩も抜け出そうとしていない。
◾主要国がマネーをどんどん供給する時代に、そうした経済の現実を想定していない、かつ相変わらず需要と供給の価格形成理論に立脚している経済学は、もはや手も足もでなくなっているというのが本当のところです。
◾私たちがふだん見かけることのない大富豪が、何をどう考え、何に期待し、どのようなシナリオを描くかによって、世界中の国民の生活が左右されるということです。
◾経済の現状を分析し、これからの見通しをつけるためには、投資家の心理を読むしかない。心理が変化すれば、人間の考えも、投資行動も変わり、世界の経済の方向性を決めていくということになる。
◾経済学は今後根本から変わり、例えば、心理経済学というように、経済学という独立した学問分野はなくなっていくに違いありません(化学がなくなり分子生物化学等のようにその他の学問分野に組み込まれたように)。もしそうならなかった時は、世界を牛耳る投資家たちの手によって、経済学がより怪しげな経済洗脳の道具につくり変えられている時。大惨事や大災害が演出され、その結果、私たちを原始時代のごとき考えに縛りつけ、経済的奴隷にとめおく力が働いている時だと、心しておかなければならない。
◾ドルは財務相国債を発行し、FRBが金を担保に政府に貸し付けるという形で発行されますから、それに金利がつくので、ドルは刷られれば刷られるほど、FRBは儲かるのです。
◾お金を刷りすぎれば通貨価値が下がってインフレ、お金が不足すれば通貨価値が上がってデフレ(通貨発行量、マネーストックにかかる問題)。
◾古典的経済学の時代、お金がどんどん刷られて増加していく現代の状況など想定外。それが、FRB設立とブレトン·ウッズ体制(戦後の国際通貨制度)以来大きく変化。
ブレトン·ウッズ体制=世界各国がアメリカに付き従って経済発展を進めていくシステム。ドルに唯一の金兌換制を持たせた国際通貨制度。外貨準備という名目で、各国に対して米国債保有と、アメリカにドル資金を送るよう促す仕組み。
この体制の下、外貨準備不足により通貨危機に陥った国に外貨を融通するためにIMF(国際通貨基金)がつくられた。IMFはドル支配体制を補完するために生み出された組織。
ベトナム戦争の巨額な戦費により起きたドル危機でアメリカはインフレに悩まされ、1971年8月ニクソン大統領は一方的にドルと金の交換停止を宣言、ドルはまったくのペーパーマネーに。その後、中国元を除き、世界の国際通貨体制は完全変動相場制へ。ブレトン·ウッズ体制はこのニクソン·ショックで終わりを告げるが、原油市場や金市場においてドルを唯一の決済通貨とする方法により、アメリカはドルのナンバーワン国債基軸通貨の地位を守った。このドル決済の牙城を崩す動きに出たフセインカダフィーは、結局、この世から力ずくで消されてしまった。
◾20世紀は、マネーストックの概念が激変した世紀。
◾少なくとも両大戦後にドルを唯一の基軸通貨とする国際通貨制度を築いて以来、アメリカは好きなだけドルを刷ることができたし、事実、刷ってきた。国債決済通貨であるドルのマネーストックが世界全体の実態経済以上に増加していれば、世界にインフレがまき散らされるのは必然の流れだった。
◾BIS規制=銀行は国内業務では自己資本比率4%、国際業務では8%を割るような融資をしてはならない。インフレのドルのばら撒き以外の理由➡️大量の疑似通貨。例えば、不動産を証券化したREIT(リート)。銀行が信用創造行為を行うように、不動産開発企業が株式と同様の疑似通貨であるREITを組成し発行しても、銀行ではないのでBIS規制はかからない。
ウォールストリートはBIS規制決定以来、金めのものをどんどん証券化する方法を戦略的にとってきた。
◾1990年の日本のバブル崩壊の原因は、1988年7月に発表された第1次BIS規制。
◾BIS規制に縛られず信用を膨らます方法=証券化
◾一般会計=年度内に消化する予算(90兆円)。特別会計=年度をまたいで消化する予算(210兆円)。
◾日本人は寄付に馴染みがなく、売名行為だとか、裏を見ようとする人が多い。このお金持ちは悪い人という感覚は、日本人の伝統的考え方ではなく、戦前はそうではなかった。
東北の寒村の貧しい村人がお金持ちに虐げられる話は、デフォルメされすぎたファンタジーなのではないか。戦後の支配者たちは、それを強調して国民大衆の平等意識や正義感を鼓舞し、高額所得者から多額の税金を徴収するために都合のいい伝説をねつ造した側面があるのではないか。戦後の日本の税制は、先進国と比較して明らかに大金持ちが生まれない仕組みになっている。
◾日本は、外需に依存せず、海外から十分な製品を購入し、国際的な資金援助も果たし、なおかつ巨額の対外資産を持っている。➡️経済大国。これほどの経済規模を持つ国において、自国の通貨が安いほうがいいという考えは、勘違いを通り越して、ほとんど犯罪。通貨安を望む=「国力を削ぐべきだ」、国賊の行う主張。円が高くなり、円の購買力が上がり、日本が富んでいくことにブレーキをかけろというに等しい。
◾投資というのは、大きな流れをとらえることのできる人しか儲からないようになっている。5年10年という時間軸で相場がどう動いていくかを予見し、世界の経済や金融の仕組みの全体像を理解して、流れを読む。
◾バブル発生のたびに、その崩壊によって金融危機が起こっているわけだが、歴史的に見ても、これだけ頻繁に起こる時代はない。
これは、ブレトン·ウッズ体制が崩れた71年以降に顕著になった現象であり、ドルの金兌換制を放棄したアメリカが、クレジットカード、REITをはじめとする債券、そしてデリバティブなど、たくさんの疑似通貨を生み出す歩みの中で起こってきたこと。
つまり、お金でお金を稼ぐ経済が世界に拡大していく以上、バブルの発生と崩壊を繰り返すことが宿命づけられている。世界の支配者が自らの資産を倍増させていくのに、これほど好都合な経済環境もありません。
◾官僚というのは、国民の不満や国家的危機を食んで、つねに焼け太りしようとする生き物。負担増に見合うだけの社会福祉が国民に提供されたためしはなく、不満をぶつけられると、そのためには増税、と返してくる。GDPを成長させなければ=官僚が仕掛ける幻想であり、そのために財政を立て直し、政府が使える金を増やさなければ、となる。
◾「デフレ」という概念は、日本国内で購入するできるすべての「モノ」の総体とマネーストックの量から見るものです。そのときに、「お金」対「モノ」としてのお金の価値の上下を、「インフレ(通貨価値の下落)」あるいは「デフレ(通貨価値の上昇)」ととらえるマクロ経済の話にすぎません。
総務省のとっている統計は、個々の商品の価格の動向であり、これはミクロ経済の話。マネーストックと「モノ」の総体の関係で見るインフレ、デフレの指標にはなりえない。
インフレ·デフレはGDPの増減とそれに対応するマネーストックの増減で見るべきですから、総務省が本来利用すべきなのは、人口の推移データです。1人あたりの生産性は一年単位では平均してほとんど変わりようがないため。
◾現代の金融経済では、重要な指標の大部分が非上場の世界と投資家の行動そのものに移ってしまったため、推測が入る余地が輪をかけて拡大している。その結果、統計や調査データが持つ意味もどんどん失われている。
◾日本国内の経済カースト、日本の多国籍企業は日本政府よりも少し上の地位。世界の多国籍企業の子会社であるか、世界の大企業の主要取引先であり、経済カースト上位の意向をより反映する立場にあるため。日本の多国籍企業の大株主の多くが青い目に変わっている。
◾つまり、物価下落を表す政府の統計は、要するに、世界の多国籍企業の戦略の一環。日本人がお金を溜め込むように仕向け、それを、TPPによる市場解放や米国債の購入を迫るという形で、ごっそりかっさらう腹づもりでしょう。
◾インフレ·デフレは通貨の総量に起因する。総量が増える➡️通貨の価値は相対的に下がり、インフレーションが起こる/総量が減る➡️通貨の価値が相対的に上がり、デフレーションが起こる。
しかしOECD(経済協力開発機構)の定義では、インフレ·デフレの概念が、物価の概念(インフレは物価が継続的に上昇、デフレは下降)に変わっている。
◾このことにより、隠されたこと。
·物価は変わらないという当たり前のこと。モノの価値は変化せず通貨の価値が変化するという本来の概念を、モノの価値が変化して通貨の価値は変化しないという概念に変えた結果、普遍の通貨の価値がモノの価値を決めるという論理のすり替えが行われた。つまり、お金がすべての基準であるという論理が、大手を振って通用する世界に、いつの間にか変わっている。
·好況と不況の原因を隠してしまったこと。物価の継続的な下落、出口が見えないと信じ込まされる。マクロ経済(マネーストックの量と購入できる「モノ」の総体)とミクロ経済(個々の商品の価格動向)というまったく異なる概念を混同させた結果。
◾インフレかデフレか=マネーストックが増えたか減ったか。
マネーストックGDPの伸びに合わせて増やすだけでデフレからの脱却は解決。GDPの変動要因は人口。
◾好況不況は銀行が市中に潤沢に供給するか否か。
◾いくら日銀が国債を購入し銀行に現金を供給しても、市中に通じる銀行の蛇口を誰か(ヨーロッパの大銀行家)が固く閉じてしまえば、それは世の中に流れて行かない。➡️BIS規制。
◾日本のマネーストックは、政府にも日銀にも決定権がない。
◾日本は、BISにより銀行の蛇口がしめられ、本来あるはずのないデフレに悩まされてきた。明らかに仕掛けられた不況。
◾1500兆円の日本の個人金融資産を吸い上げるために、彼らは意図的に日本国債の格付けを下げている。
◾S&P、消費税の増税を導入なければ、日本国債の格付けを下げると明らかな内政干渉発言。消費税導入で、日本の景気が悪化、日本国債の格付けを下げられる。日本国債をもう一段下げて、ゆうちょ資金や銀行預金で米国債やユーロ建て国債を買わせたい。
◾不況と戦争、そしてヨーロッパの大銀行家たちが出資する民間中央銀行の設立。主要国の近代史·現代史を見ると、常ににセットで起こっている。