陰陽師 玉手匣 7

 

陰陽師 玉手匣 7 (ヤングアニマルコミックス)

陰陽師 玉手匣 7 (ヤングアニマルコミックス)

 

今まで・・・

身を投げ出すようなサービスは おれ独りでいいと思っていた・・・

つまり・・・ そういうお人好しは 案外 多いということか!

なんだ・・・

 

自分の中の童子の部分を・・・

制限を知らない幼なさ無邪気さ・・・

心の源が持つ 溢れ出る動機に 鍵をかけた

その力が持つ 永遠の若さを封じて いないものとした

その力こそが 人間の持つ 神秘であったのに・・・

 

人と・・・ 自然は・・・ 一体だ・・・

自然が病めば・・・ 人の身心も病み・・・

人の身心が病めば・・・ 天地自然も病んでしまう・・・

人と自然が 健全で 一体ならば・・・

暗夜(あんや)を 疾駆すること とて

可能なのだ

 

古く この世には 愛する者が危ない旅に出た時 内に籠もり ひたすらに機を織り または 糸を紡ぎ 刺繍やタペストリーを織って 帰りを待つ女たちの物語があります

それは 彼女たちが 無力だからなのではなく 愛する人の無事の帰還と再会を 確かにするために 自分自身の未来を織り紡いでいた姿なのです

男たちが外に出て 数々の出来事に出会う間 女たちも同じように 自らの内側への旅をしていたのです

それは 女性性にしかできない 特質 なのです

そうして 内と外 多くの出来事に 遭遇した者同士が 再びめぐり会えば

それは お互いが お互いの 御憩所(みやすどころ)であったのです

そうだ おれも玉手匣と物語を紡ぎ続けよう それがおれの役目だもの

 

娘よ・・・

女たちは 夢を見て いいのです

夢を 現実の方に 引き寄せるのが

女性の役目 なのですから

 

この話は ここで おしまい