脳には妙なクセがある 1

オキシトシンは当初、女性に特有な機能に必須なホルモンとして発見された。男性にも存在。一般に良好な対人関係を築いているときに分泌される。
オキシトシンをヒトに投与する実験が衝撃的。鼻から吸引。すると、金銭取引などで、相手への信頼度が増すことが判明。効果は劇的で、相手の言葉をほとんど盲信。だまされて多額の損害を被っても、再びオキシトシンが投与されれば、以前痛い目にあった経験はどこへやら、ふたたび相手を信用し、不利な取引契約を結んでしまう。
・判断ミスには自制心が関わる。自己コントロールができていないと、状況を見定める能力が低下する。動揺していると、本来何も描かれていないイラストからさまざまなモノを見いだしたり、株価変動のグラフからありもしない経済動向を見いだしたりしてしまう傾向が強まる。自己制御が困難になると、ヒトは意味や因果関係を倒錯的に知覚してしまう。動揺すると足元をすくわれるーーーなぜか私たちの脳はそうプログラムされている。
・母親の若い頃の良い経験は、子どもに遺伝する。豊かな環境により「海馬」の機能は向上し、その子どもは生まれつき海馬機能が高く、記憶力も増強される(ネズミの実験)。
・「顔面フィードバック」顔の表情は精神や身体の状態に影響を与える。感情表現の行為自体に意味がある。
笑顔に似た表情をつくると、ドーパミン系(「快楽」に関係する神経伝達物質)の神経活動が変化=笑顔を作ると楽しくなる。笑顔には楽しいものを見いだす能力を高め、明るく朗らかな事象を収集するフィルターの役割がある。
恐怖の表情をつくると、視野が広がり眼球の動きが速まり遠くの標的を検知できるようになるなど、外部へのアンテナ強化に敏感になる。嫌悪の表情をつくると、全く逆に、視野が狭くなり鼻腔が狭まり知覚が低下、感覚入力をシャットアウトすることで「くさい物に蓋」をする作戦を取る。
・汗を介して不安は他人に伝わる。意識レベルでは識別不可能だが、脳は反応、無意識レベルでは区別している。「“他人を嗅ぐ”ことは他者の感情の科学的表現を自らの内面に取り込むことである」。
・香りの刺激は直接大脳に届く。
視覚・聴覚・味覚・触覚➡視床➡大脳皮質
嗅覚➡大脳皮質、扁桃体
コーヒーの香りは薬理的に脳に良い。
・赤色の効果
1.赤や黄色などの長波長の光は「幸福感」と関連。充足感は学習欲や認知機能を低下させる。人は満足するとそれ以上欲しなくなる傾向。
2.相手の士気を奪う。相手を無意識のうちに威嚇し、優位に立ちやすい状況をつくる。ボクシング等スポーツの成績は赤サイドの勝率が高い。オリンピック大会でも。
3.回避的な傾向を生み、警戒心を高め、極度な集中力が要求されるケースに成績がよくなる。赤は警告のサイン。
・年輩者に比べ、若者の脳は損に対して強く反応。年齢とともに悪しき感情は減っていくが、リスク管理能力という意味では、高齢者が詐欺の被害にあいやすいことを考えれば、歓迎すべきかは不明である。
・胃や腸等消化器官は脳と密接に関係。胃腸の具合は脳の状態とリンク。消化器系を支配する神経繊維を電気刺激すると(迷走神経刺激法(VTS))、脳にとって重要な物質が増える。
脳によくない栄養素➡飽和脂肪(バター・ラード・ヤシ油・綿実油・クリーム・チーズ・肉に多い)
・試験直前10分に、試験科目の不安な点を具体的に書き出すと、緊張がほぐれ、10%点数アップ。気持ちを素直に吐き出すことが重要。物怖じしないタイプの生徒では成績変わらず。
・応援や励ましは、科学的に効く!