脳には妙なクセがある 2

・経験によって反射の仕方が変化することは十分ありえ、むしろ、変化の方向が周囲の者から見て好都合に思えるとき、人々は
これを歓迎し、「学習」や「成長」などと、便宜上呼んでいるのだと思われる。
・自由意思とは本人の錯覚に過ぎず、実際の行動の大部分は環境や刺激によって、あるいは普段の習慣によって決まっている。
意思とは「自分の力で決定したつもり」になっている幻想(イリュージョン)としかいいようがない。
意識と無意識はしばしば乖離。無意識の自分こそが真の姿。
・人には自分の行動の意味を、本人のあずかり知らないところで偽造する癖がある。
・「ヒトは自分自身に無自覚であるという事実に無自覚である」
ヒトは自分自身に対して他人。
・脳という自動判定装置が正しい反射をするか否かは、本人が過去にどれほどよい経験をしてきているかに依存。よく生き、よい経験をすると、よい癖ができる。
・アイデアをひらめいたり、創意工夫に満ちた着想を得るための「怠惰思考」
課題に直面➡課題放置を決断➡休止期間(「REM睡眠」が多い人程高成績)➡解決策をふと思いつく
書類等、〆切が先だからと開けずに放置するより、とりあえず一度目を通してから放置するほうが、思いつくチャンスが高いと思われる。
・レミニセンス現象
「睡眠の効果を最大限利用するためには、睡眠直前の夜に習得したほうがよい」「就寝前は記憶のゴールデンアワー
・分散学習(2日に分けて2回)と集中学習(1日に2回)は直後では成績に差はないが、後者は忘れる速度が速い。長期的視点に立てば、脳回路へより強く痕跡を残すのはコツコツ勉強タイプ。学習途中で睡眠が入ることがポイント。
・睡眠中は記憶の「整理」と「定着」が交互に行われている。浅い眠りの時「海馬」がシータ波を出して情報の脳内再生を行い、深い眠りの時大脳皮質がデルタ波を出して記憶として保存する作業を行っている。
このデルタ波を効果的に出すことが出来れば、物覚えがよくなると期待され、デルタ波を出している睡眠中の人にデルタ波のリズムで電気刺激を与えると、より強くデルタ波を刻むようになり、記憶力が上がる。
電気刺激以外の現実的な方法としては、「匂い」による方法があり、バラの香りを嗅ぎながら暗記を行い、デルタ波が出ている深い睡眠中にバラの香りを嗅ぐと成績がよくなる。睡眠中の匂い刺激は、記憶を強化する。
・人には神を感じる脳回路、宗教回路が生まれながら備わっている可能性が高い(側頭葉)。
・「宗教心が強い人は自己中心的」
「神の思し召し」=神の意図などではなく、実は(本人無自覚)「本人の個人的な願望」が反映されている。神の命令だと公称して、自分の意見を通す。虎の威を狩る狐。
・催眠とは注意力が低下して「状況の不一致や不自然さに気付けない状態」とも解釈できる。人工認知症とも。
・右側の「頭頂葉」下部を麻痺させると、写真に写った顔が自分なのか他人なのか区別出来なくなる。頭頂葉は時空認識に大切な脳部位とされており、「自分」という存在は、脳内の時空の中で創作されていることが想像される。
・未来を想像すると「前運動野」が活発に活動。身体の動きは未来イメージと関係。身体運動用に設計された神経回路を日常的な未来計画にも使い回している。手足の動きをプログラムすることは、行動の結果を予測することに基づく。「観念運動」=何かを強く思い浮かべると、自然と体が動く現象。
夢が叶う=自分の将来像を具体的に描くことで、身体や脳が自然に目標に向かって準備した結果と解釈可能。
・海馬に障害があると未来を思い描けない。認知症で障害を受けているのが海馬。脳が老ける=夢を持てなくなることと似ている?
・「一見抽象的にも思えるヒトの高度な思考は、身体の運動から派生している」という仮説。
運動を統制するための装置が筋肉と神経系であり、神経系を効率的に発達させた集積回路が「脳」。
・ヒトのように大きな脳では、脳の自律性が高く、身体を省略して脳内だけで内輪ループを形成することができる。この演算行為=「考える」。ヒトの心の実体は、脳回路を身体性から解放した産物。
・日頃の身体経験の重要性。
脳は元来身体とともに機能するよう生まれた。精神と身体は切り離せず、心は脳ではなく、身体や環境に散在する。
・身体運動を伴うとニューロンが10倍ほど強く活動。(受動的に教えられる状況より、積極的に学びにいく状況のほうがニューロンが強く活動)