ココロの盲点

自分では気づかない、ココロの盲点

自分では気づかない、ココロの盲点

  • 作者:池谷 裕二
  • 発売日: 2013/12/06
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
・赤
赤色に惹かれる理由は、血液にあると考えられている。酸素の結合したヘモグロビンの鮮やかな赤色は心肺健康を意味し、肌に現れたら毛細血管が広がり活き活きしている証拠。
・「少数の法則(Low of Small Numbers)」
脳は原因が分からないとき「法則」を探す。数少ない経験でも法則化しがち。偶然の出来事が二、三回重なると、「次もきっと・・・」と一般化したくなる。これが「迷信」や「験かつぎ」「儀式」を生む。慣例は消えにくい=消去抵抗。確証バイアスにより促進されると、更に強い信念へと発展。ジンクスや厄年等社会的信念もこの原理による。
・「記憶錯誤(Paramnesia)」
記憶は未来に向けたメッセージ。将来の自分に役立ってはじめて意味をもつ。だから役に立つように記憶内容が歪められる。記憶は正確でさえあればよいというわけではない。
・「伝染効果(Contagious Effect)」
好調な選手がいると、周囲の成績も上がる。周囲に絶好調の人がいたら、好調が続くようサポートし、逆に自分が好調であれば、けっして奢らず、チームの雰囲気に感謝する。相互に謙虚な姿勢が真のチーム力に結びつく。
・「プライミング効果(Priming Effect)」
「記憶力は歳をとっても衰えない」が、「歳をとると記憶力が落ちる」と信じている年輩者は、その信念通りに記憶力が低下する。本人の意識に上がらないよう、若者にさりげなく老齢をイメージさせる単語を見せると、歩く速度が老人のように遅くなる。前向き思考は大切!
・「ジンクピリチオン効果(Zinc Pyrithione Effect)」
同じ事象の説明でも、科学用語を用いると、人々の反応は変わる。かつて「ジンクピリチオン配合」と謳ったシャンプーがヒット商品となった。薬学博士号を持つ著者も詳しくは知らない物質だが、CMを観て効きそうと感じた。科学者コミュニティでは、チンプンカンプンな科学用語で非専門家を煙に巻くことを「ジンクピリチオン効果」呼ぶ。
・「人格同一性効果(Personal Identity Effect)」
犯罪心理学の研究から、犯罪者は一般的に止むに止まれず悪事に走り、「自分は本当は善良だが、今回は特別」と自分の心に蓋をし、「本来の人格」と「実際の行動」は別としている。脳は「一回の過ち」より「人間性」を否定されることに抵抗を感じる。
「ウソつかないでね」より「ウソつきにならないでね」、「投票は大切」より「有権者として振る舞うことは大切」、「怠けないで」より「怠け者にならないで」、「理解して」より「理解者になって」、「泣かないで」より「泣き虫にならないで」等多くの場面で応用できそうです。
・感情は表情より姿勢に引っ張られる。脳は顔よりも体との結びつきが強い。
・「心」の上流をたどっていくと、いつしか「自分」という主体は脳活動という化学反応の渦潮に飲み込まれて消えてしまう。どうやら、ヒトという生き物は、自分のことを自分では決して知りえない作りになっているようです。

・「額面効果」 大きな単位(紙幣など)より、小さな単位(硬貨など)の貨幣を使うほうが、結果的に浪費してしまう傾向。
・「間隔効果」 一気に詰め込むより、間隔をおいて学習したほうがよく覚えられること。
・「記憶錯誤」 実際に見聞きしていないことが誤って思い出されること。デジャブや前世の記憶もこの一種。
・「クリプトムネシア」 見聞きした経験を忘れているとき、その情報を「自分で考えついた」と剽窃する傾向。
・「主観的な妥当性評価」 願望を、偶然の一致に必然性を見出すなどして、事実そうであるかのように感じる傾向(確証バイアス)。
・「少数の法則」 例外かもしれない少数のサンプルの調査結果から「一般則」を導いてしまう傾向(サンプルサイズに対する鈍感さ)。
・「真理の錯誤効果」 新事実より既に知っていることを「正しい」と思い込む傾向。
・「単純接触効果」 見慣れているものに好感をいだく傾向。
・「知識の呪縛」 いったん知ってしまうと、知らない人の発想でものごとを考えられない傾向。
・「注意バイアス」 感情を煽るものに意識が向かってしまい、それ以外の情報を無視してしまう傾向。
・「伝染効果」 成績や気分が周囲の雰囲気に引きづられること。
・「投影バイアス」 周囲や将来の自分も、現在の自分と同じ考えだと思い込む傾向。自分の価値観は普遍的だと思う傾向。
・「パレイドリア」 ランダムな模様や音声に何らかの意味を見出してしまう傾向。無秩序や無相関を嫌う傾向(錯誤相関)。例:月の模様
・「バンドワゴン効果」 周囲の意見や流行に影響されがちなこと。
・「被暗示性」 他人がそれとなく示唆した考えが、自分自身の経験や記憶に知らぬ間に混入すること(誤帰属)。
・「フォアラー効果」 多数に当てはまる漠然とした記述でも、自分の性格を的確に言い当てられているように感じてしまう錯覚。例:あなたは表向き明るく会話していますが、心のどこかに葛藤を抱えていますね
・「保守化バイアス」 よくあることを過小評価し、珍しいことを過大評価する傾向。
・「モダリティ効果」 読むより聞く、聞くより見たことのほうが記憶に残る傾向(画像優越性効果)。
・「モラル正当化効果」 良い行動直後は「次は少しくらいいだろう」と逆にモラルに欠ける行動をとる傾向。
・「リスク埋め合わせ」 安全が確保されると、かえって危険を冒す傾向。