無とは何か

Newton別冊『無とは何か』

Newton別冊『無とは何か』

◾ミクロな世界の物理学である「量子論」によれば、たとえ完全な真空であってもミクロな視点で見ると、そこは「ゆらぎ」に満ちているといいます。そして、そのゆらぎによって真空は“完全なる真空”ではいられず、ある瞬間に粒子と反粒子(もとの粒子と電荷などの正負が反対で、質量などのほかの性質が同じである粒子)のペアが生じて(対生成)、すぐに消える(対消滅)、ということがたえずおきているというのです。
◾「エキピロティック宇宙論」のもとになったのは、「ブレーンワールド」という仮説です。私たちが認識している3次元の空間の宇宙は、より高次元の空間(6,7次元、3次元とあわせて9,10次元)に浮かぶ膜(ブレーン)のようなもので、3次元の膜の中にいる私たちは、“外側”の高次元世界を感じることができない、と考えるのです。
ブレーンワールドの仮説によると、高次元世界に浮かんでいる膜が一つである必然性はなく、エキピロティック宇宙論は二つの膜どうしがたがいに接近·衝突したときに、宇宙が高温·高密度の状態(ビッグバン)になり、膨張していくという仮説です。
◾「ホログラフィー原理」によると、2次元でおきるある現象と、3次元でおきる別の現象を同じ(等価な)ものとしてあつかうことができます。つまり、高次元でおきる現象は、低次元でおきる現象の“ホログラム”だととらえることもできるわけです。
ホログラフィー原理をもとにした仮説によると、この宇宙は、2次元平面上に“書かれた”情報から“投影”されたものである可能性があるといいます。