行動遺伝学

 

日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)

日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)

 

  ■現代は、かつては天才やエリート層にしか求められていなかった賢さ、つまり知的能力が、あらゆる人に要求されるようになった時代だといえます。

昔はそれを学ぶ境遇にあったかなかったかが、そうした知的能力の個人差の決定因でした。誰もが学べるようになったいま、その能力の個人差に遺伝の差がはっきりと表れるようになったのです。

 

■18世紀に産業革命が起こり、それと歩調を合わせて近代国家が台頭してきます。身の回りのモノを対象にしたわかりやすい知識さえ学べばよかった時代から、科学技術や高度な思想や複雑な社会制度のように目に見えない抽象的な知識を活用できる人材が求められる時代になっていったのです。

 

■生まれつきの素養がある人は教育によってぐんと伸びる、その一方、素養がほとんどない人はあまり伸びないという、残酷な事実を告げているともいえます。

 

■学力や知能は遺伝する、そして教育は遺伝的な格差を拡大する方向に作用する。

 

■収入も含めて歳を重ねるごとに遺伝の影響が増していくことを考えると、自分なりの能力を磨いていった方が有効な戦術だといえるのではないでしょうか。

 

■遺伝的素養が発現してくるのは30代以降。家柄が悪くても、遺伝的素養がよければ、30以降良くなるかもしれない。家柄が良くても、遺伝的素養が悪ければ、若いうちは家柄の威光があったとしても、年を経ると凡庸になる可能性。

遺伝はランダム。優秀な両親から凡庸な子、普通の両親から天才が生まれることも。天才でも凡庸でも、裕福であったほうが、アクセス可能な分野が広く、才能を開花させる環境へ行き当たる可能性が高い。