霊と金

スピリチュアル・ビジネスの特徴は、倫理的行為規範や社会関係が要請される宗教団体であることをやめて、スピな商品やサービスを販売する営利事業体になりきることにあった。「不安」そのものを売る。現在や将来の不確実性を縮減する特異な世界観。
要するに、スピリチュアル・ビジネス商法というのは、スピリチュアルな商品やサービスそのものの効用によって顧客を満足させるのではなく、顧客となった人々のリスク認知を操作して特異な問題解決の利得を得るためには損失をも厭わない心境にさせたうえで、様々な商品の購入を勧める特異な方法なのである。
リスク認知操作していることの方が、金銭被害や人権侵害よりも深刻と言える。危険を危険と認識したり、感じたりできなくなると私達の社会生活は極めて危ういものになるからだ。
この種の団体に巻き込まれやすいという意味でのリスク認知の個人差には、当人の属性(性別、年齢・世代、学歴や職歴、価値観)以外に、どのような社会関係資本(友人知人・頼れる親戚の多さ・医者や弁護士・政治家や役人に知り合いがいるか等)を持つかも大きな要素となる。

スピリチュアリティ・ブームの背景=不安定化する社会、自己実現に囚われた現代人、日常生活から癒やしを得られない人々をターゲットとするニッチな市場