SDGsの大嘘

◾プラスチックを燃やしてしまえば海洋汚染は起きないので、レジ袋有料化は無意味。
◾「Sustainable(持続可能)」であるということは、そこで「Development(開発)」は止まるのが普通だし、その逆に、「Development」を続けている限りは、「Sustainable」という状態にはならない。
◾意味としておかしくならないのは、「Sustainable Goal」、もしくは、「Unsustainable Development」のどちらかである。グローバル·キャピタリズムが牽引している現代資本主義は基本的に後者で、これは長期的にみれば、いずれ破綻を免れない。だから意味が通じなくても、とにかくそれらしい言葉をくっつけて、SDGsなんて格好いいフレーズを造語したのだろう。
◾「名は体を表す」ではないが、この怪しい響きというものが、一握りの人間の懐を肥やすばかりで、ほとんどの人を不幸にするSDGsの「嘘」の本質を表している。
◾「再生可能エネルギーというのは、実は太陽エネルギーの奪い合い」
◾炭水化物を食べることによって、地球上の生物は生き永らえている。光合成をする生物の生産物を、別の生き物が自分の生存のために使っているわけだ。言い換えると、我々は人間同士だけでなく、地球上の生物たちと「炭水化物の奪い合い」をしているということだ。
炭水化物には「上限」があり、足りない分は他の動植物から収奪しなくてはならない。当然、海や陸の生物多様性は減少。「貧困·飢餓をなくそう」と「海·陸の豊かさを守ろう」は矛盾する。
◾私たち人類が人口を爆発的に増やすことで、「陸·海の豊かさ」をどれだけ損ねてきたか。自然のなかで適正な数の人間が、野生の動植物をとって食べていくというのが実は最もサステナブル
◾究極のSDGsは「みんなで人口を減らそう」
◾「人口抑制」はグローバル資本主義を妨げる
グローバル資本主義によって恩恵を受けている西側諸国からすれば、「人口が増え続ける」という状態が続いてくれないと困るという現実がある。世界で展開しているアパレルブランドなどが分かりやすいが、これらのグローバル企業というのは基本的に安い商品を沢山作って、世界中の消費者に向けて売っていくというビジネスモデルがあり、そのためには「安い労働力」が欠かせない。途上国などでは人口が増えており、貧しい人や子供たちを安い賃金でこき使うことができる。
◾欧州で続々と移民を受け入れているのは、国内に安い労働力が減ったから。
◾このように、ちっともサステナブルでないことをやって現在の繁栄を築いた国が中心となって、「SDGsが大事」なっていったところでなんの説得力もない。「グローバル資本主義にのっとって、じゃんじゃん生態系を壊してきた」という自分たちの都合の悪い話から目を逸らさせることが本来の目的なんじゃないの、というのが私の率直な感想だ。
◾貧困をなくそう、飢餓をなくそう、生物多様性を守ろうという、誰も反対できない素晴らしい目標だというところまではMDGsと大差ないんだけど、その対象を地球全体に拡大したせいで、「損をする人々」や「犠牲になる生物や環境」というのが現れてしまった。
人間の数を減らすことなく、食料や水、そしてエネルギーという「上限」の決まっている資源を地球規模でシェアしようということなんだから、それは当然だ。
◾「資源を持たざる国(EU)」が「資源を大量に持っている国(アメリカ·ロシア·オーストラリア)」に対して立場が弱くならず、むしろ優位になるためにはどうしたらいいのか。最も簡単で効果的なのは、「ゲームのルールを自分たちに有利なものへと変えること」だ。
エネルギーでいえば、石油や石炭、シェールガス·オイルを沢山持っている国はもう時代遅れで、他のエネルギーに力を入れている国の方が将来有望だというふうに「世界の常識」を変えてしまう。それこそが、ヨーロッパが進めている太陽光、風力、水力という再生可能エネルギーへのシフトの価値を高めていく戦略なのだ。
つまり、EUやイギリスが近年になって「エコ」や「脱炭素社会の実現」を叫んで、ガソリン車を規制して電気自動車の普及に力を入れているのは、純粋に「地球環境のため」というよりも、「自分たちのため」という側面が大きい。
国際社会で「脱炭素」の主導権を握ってこれを推進して世界に広めていけば、化石燃料をあまり持っていない自分たちの弱さは軽減できる。ロシア、アメリカという資源を山程持っている大国との優劣の差を埋めることができる。そういう戦略をずっと進めてきているわけだ。
これをさらに後押しするのが、SDGsだ。
全身のMDGsのように「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」という、全世界の人たちが反対しづらい目標を沢山並べ立てたところに、さらにEUの国際社会での立場を揺るぎないものとする「脱炭素」をさりげなく紛れ込ませた。そうすれば、アメリカやロシアの力を抑えるのはもちろん、「CO2排出量なと知ったことか」という感じで急速に経済成長してその存在感を示しているような中国や、オイルマネーで世界経済にも大きな影響を及ぼす中東産油国への牽制にもなる。
◾とにかく一丁目一番地として大事なのは、「脱炭素」を広めて、自分たちが進めている太陽光や風力、そして電気自動車のような施策を世界に広めていくことなので、ほかの目標はMDGsからの流用というか、寄せ集めみたいなことになっていても、EUとしてはなんら問題ないのである。
◾結局、トータルでみて何が最も安いのかというと、石炭による火力発電だ。石炭が豊富にある中国は、自分たちは途上国だという主張で、どんどん火力発電をしているが、それによる安いエネルギーコストが経済成長の原動力になっている側面もある。その次に安いのがロシアなどにある天然ガス、さらにアメリカのシェールオイルなどが続く。
これらの国は資源があるので、エネルギーが安い。だから、エネルギーを大量に費やした大量生産もできるし、エネルギーを、他国に売って稼ぐことができる。
でも、資源をあまり持たないEUはそれらの国からエネルギーを買うしかない。エネルギーコストが高いということは、さまざまな製品やサービスのコストも高くなる。そうなると、安いものを世界に沢山売っていくグローバル競争には不利なので、EUは世界的な「脱炭素キャンペーン」をぶち上げて、これをひっくり返そうとしているわけだ。
SDGsが胡散臭く感じるのは、その裏側に米露中よりもエネルギー競争で優位に立ちたいというEUやイギリスの思惑がにじみ出ているからだ。
SDGsで並べられている美しいスローガンは、実は地球環境や、よりよい未来のためにはほとんど役に立たない虚構であり、EUやイギリスが「ひとり勝ちをするようなルール」を世界に押しつけるためのプロパガンダなのだ。
グローバル資本主義で繁栄を築いてきた西側諸国をこれまでどおりに優位に立たせるための新しいルールであって、強い国をそのまま強く、弱いところを弱いままに固定させるような弊害しかないと私は思っている。
◾長い地球の歴史では桁違いにCO2濃度が高かった時代もあって、それでも環境に悪影響などなかった。むしろCO2がある程度たくさんあったほうが植物の生産性が高くなるので、それほど悪い話ではないのだ。
光合成の専門家(渡辺正さん)からすれば、温度が高くて水が沢山あって、しかもそこにCO2がいっぱいあると、ものすごく植物の生産性が高くなるので、温暖化はむしろ好ましいというのは当然の帰結だ。たとえば、白亜期の時代などがまさにそうで、CO2の濃度は今の5倍近く、気温は10℃も高かったと考えられている。なぜかというと、そうでもなければ、すさまじい巨体を持つ恐竜などはとてもじゃないが生きられないからだ。
恐竜が地球を支配できたのは、食物連鎖の頂点にいて、体があれほどまでに巨大化したからである。植物を食べて成長した草食恐竜を、肉食の恐竜が捕まえて食べていたわけだが、これにはものすごい量の植物が必要だ。つまり、今とは比べ物にならないほど、光合成のスピードが速かったわけだ。草食恐竜がバリバリと食った植物は、数日経てばまた復活するというような感じだったんじゃないかな。
白亜期は、少なくとも今とは比べ物にならないほど陸も海も豊かで、生物多様性も高かった。「CO2で環境が破壊される」なんて話は、人間がでっち上げた妄想だってことがよくわかる。
◾「エコ意識の高さ=知識人の証」という幻想
日本の場合に少し特殊なのは、このようなリベラル、左翼的な人たちだけではなく、保守層にまで、CO2にる地球温暖化説を疑うことなく指示している人がたくさんいることだ。政党や思想信条には関係がないのだ。