寝る脳は風邪をひかない

◾政治的信条は高次な理性に基づく信念だと思われがちだが、実は、脳の回路構造という生物学的基盤がある。
◾脳の若さを保つ物質が減ることによって脳が老化するのではなく、むしろ、脳機能を低下させる物質(CCL11という血液中の分子)が増えることによって老齢化が進む。
◾難しい問題で集中力を要求することで、集中力は活性化する。
◾あたかも食べたかのようにイメージするだけで、食べたいという欲求が減る。チョコレートやチーズを30個食べることをイメージすると、実際の摂食量がほぼ半分に減る。
◾科学的な正しさと社会的な正しさは異なる。
◾実社会では「科学的真実」は「社会的真実」にしばしば勝てない。真実よりも感情に重きを置く風潮は近年とくに強まり「ポスト真実」と呼ばれる。スティーブ·テシック「事実を尊重する態度は時代遅れだ」。
◽新聞記事で使用される単語。
1800年代は「信じる」「美しい」など感情や印象に関連した単語が頻繁に使われていた。
1900年代は「制御」「結果」「技術」など客観的な単語。
1980年代以降は感情的な単語が再び上昇。
2007年代以降は1800年代よりはるかに高いレベルに。
◾妊娠中に魚貝類を多く摂った母親から生まれた子のほうが言語知能指数が優れている(8歳の時点)。
◾「多様な集団が同質な集団よりも精度の高い決断をすることは滅多にない」
◾つまり人は、職場という舞台で人工知能の描いたシナリオ通りに演じるプロの役者となります。その魅惑的な演技力に観客(雇用者)は観劇料(給与)を支払います。
◾人が運転する車や歩行者はAIの効率を下げる邪魔な存在。
この無駄はちょうど、百年前の道路で車と馬が道路に共存するという過渡期で発生した社会ロスにも通じる。
20年後、乗馬好きが乗馬場に封じ込められたように、運転を趣味とする人は公道からサーキットへと追いやられているか。
◾「シンギュラリティ」AIが人の能力を凌駕すること。
ディープラーニングは画像認識の分野でとくに成功。教育なしで自発的に学習。現存のデータに偏りがあるため、社会の偏見はそのままAIにコピーされる。
◾「深層学習」膨大な情報をひたすらコンピューターに与えるだけで、とくに事前知識を授けなくても、動物や物体、それに人の表情や会話を自然と識別できる驚くべきアルゴリズム
「ディープQ回路」適切な行動や決断を行うことができるアルゴリズム(2015年2月)。取扱説明書を与えず、画面表示、コントローラーの用途を教えず、とにかく高スコアを出すようにとだけ指示してテレビゲームを延々とやらせる。すると自力で「何をすべきか」を学び取り、並みの人間を凌駕する成績を叩き出した。
アメリカの調査によると、所得や教育水準の高い人は、野菜や穀物、ナッツ、未加工の赤身肉など、いわゆる健康的な食材を好み、砂糖の摂取が少ない傾向が見られる。
◾健康的な食事はそれだけ多くの水や土地のエネルギーを要し、地球環境には優しくない。
◾レジ袋の有料化に環境保護効果はほぼ皆無であり、プラスチックゴミが減ることを期待しているというよりは、昨今のSDGsの流れを汲んだ精神論的な意味合いが強い。
量子コンピューターが実現した今、もっとも身近で影響があるのがパスワード。現在の暗号化の方式は「古典的なコンピューターでは現実的な時間内に解読できないこと」が前提。量子コンピューターであれば瞬時に解読できる。いま数学者たちは量子コンピューターでさえ計算困難な耐量子暗号の探索に躍起になっている。