- 作者: 池谷裕二,糸井重里
- 出版社/メーカー: 朝日出版社
- 発売日: 2002/07/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 32人 クリック: 706回
- この商品を含むブログ (130件) を見る
指をたくさん使えば使うほど、指先の豊富な神経細胞と脳とが連動して、脳の神経細胞もたくさんはたらかせる結果になる。指や舌を動かしながら何かをやるほうが、考えが進んだり憶えやすくなったり、ということです。
扁桃体(好き嫌いを判断)と海馬(情報の要不要を判断)は隣り合って密接な関係にあり、扁桃体の活動が活発になると、海馬も活発になる。
一見関係ないものどうしに共通項を見つけ出して新しい世界を見出す能力は、脳のはたらきがいいか悪いかにとって、大切なことでしょう。
30歳以降の脳は、独特なはたらきをするようになるので、それを利用できるかできないかで、ずいぶん変わってくると思いますよ。新しいものにすんなりなじめる人と、なじめなくてそれまでの脳の使い方に固執して芽が伸びないままの人との二極分化が起こるという。30歳を過ぎると、つながりを発見する能力が非常に伸びるんです。前に学習したことを生かせる能力、一見関係ないものとものとのあいだに、以前自分が発見したものに近いつながりを感じる能力は、30歳を超えると飛躍的に伸びるのです。
30歳までは構築していくのに力を入れる時期で、そこからはつながりを発見していくんですね。
ネットワークを密に深めていくことはどんなに年齢を重ねても、どんどんできる。
「脳は疲れない!」疲れた時は、目や同じ姿勢を取り続けた疲れを補う方が実践的。歩き回りながら、同じことを考え続けた方がよい。一旦忘れず、考えたまま違うことを。区切りのいいところからあと数行書いて休憩をとったほうが、うまくいく。休まず、ほかのことをする。
話題に疲れた=話題に行き詰まった=ものとものをつなげる能力が固定して、動きがとれなくなるほどに飽和した=『飽きた』⬅ここを認識できることが大事!脳には「ひとつのものを、見続けていられない」という性質がある。同じことを繰り返せない。
情報を整理しすぎると、消えてしまうものがある。机の上が汚かったとしても、そこからふと出てきたものが何かのヒントになったりする。それは、汚いからこそ起きたこと。つまり、事件性が増し、「はじめて対処」する事で、新しく脳の回路がつながり、鍛えられるのではないか。同じことの繰り返しは、脳をだめにする。
陸に上がった生物、木から下りた猿、企業の栄枯盛衰も「これまでのシェアからこぼれ、仕方なく違うことをした人がのしあがる」ということの繰り返し。
□やればやるほど、経験メモリー(方法記憶/HOWの記憶)・能力はべき乗で増える=凡人天才の差より、天才同士の差の方が大きい
海馬=可塑性(元に戻らない)=記憶(情報の要不要を判断、他の部位に記憶を蓄える、記憶の製造工場)
海馬無し=新たな記憶を製造できない=5分程の短期記憶のみ
扁桃体=感情の記憶
海馬(記憶)無しでも好き嫌い等の感情の記憶は残る。扁桃体無しだと、記憶はあっても、感情はなくなる。知っている人でも、偽者としてしまう(カプグラ症候群)。
■海馬は、成人しても、旅等新しい環境や遊び等の刺激により、増える。扁桃体の活性化=海馬の活性化。好きなものは憶えやすい。感情を豊かにすることが、海馬の神経細胞を増やす事に繋がる。だから、音楽を聴く、恋愛、好きな絵を見る等「情操教育」と言われるジャンルは頭をよくはたらかせる上で、大切。
□即坐核は「やる気」を生み出す脳の部位。ある程度の刺激が来たときのみ活動=やる気が出ないときでもやり始めるしかない。やってないなら、やる気がなくて当たり前。「作業興奮」。アセチルコリン(神経伝達物質)を海馬と前頭葉に送る。風邪薬等はこの物質を抑えるため眠気が起こる。アセチルコリンは腸も活発にするため、下痢止めは腸だけでなく頭にも効いてしまう。夢を見る刺激を与える物質もアセチルコリン。夢は情報整理。風邪薬を飲むと情報整理できない睡眠に。
「脳は使い尽くすことができる」どんな年齢でも、ここを認識すれば、ずいぶん違う。視点を増やせば、脳の中のパターン認識、考えの組み合わせが増え、それを繰り返せば、人の考えは面白いものに発達する。
経験メモリーは、実際に試した手順だけを憶えるものですから、実行してみたらその分だけ経験メモリーの貯金は増えるし、経験メモリーの貯金が増えたら、また次にやれることが増えるという、いい循環になります。
いいこと言っても、悪いこと言っても、その通りになる。言葉って呪いみたいなものです。
「つながりの発見」
脳も、言葉も実験化学者も。すべてはプロセスだ。したがって発想が問われる。料理でもおなじ。食材は地球上あちこちに存在するが、要は、それをいかに組み合わせるかなのだ。